タニラー(多肉愛好家)にとても人気の殺虫剤
それが、オルトラン
あまりにも人気で、効果はよくわからないものの
おまじない
として植え付け時に与えている方も一定数おられるようです。
効果に関しても「何にでも効果があるのではないか」
と考えるようになります。
そしていつしか
「オルトランはハダニにも効くらしいよ」
という情報が一人歩きするようになります。
今回は、なぜオルトランがハダニ駆除に効果がないのかを解説したいと思います。
最後まで読んでいただけると嬉しいです。
オルトランのプロフィール
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 商品名 | 家庭園芸用GFオルトラン粒剤 |
| 現在の登録名義 | KINCHO園芸株式会社 |
| 旧イメージ | 住友化学園芸系の商品として流通していた印象が強い |
| 有効成分 | アセフェート 5.0% |
| 農薬の種類 | アセフェート粒剤 |
| 用途 | 殺虫剤 |
| 登録年月日 | 2006年9月20日、家庭園芸用GFオルトラン粒剤として |
| オルトランの本格販売開始 | 1974年から本格販売(プロ用) |
え?いつの間にメーカーがKINCHOになったの?
と思われた方も多いのでは?
親会社の住友化学がKINCHOに住友化学園芸の株を譲渡したため社名が変わりました。
オルトランDXも効果はほぼ同じですが効果のある害虫がGFに比べ少ないのですが、持続期間が長めとなっています。
私は次の基準で使い分けています。
吸う虫対策:DX
齧る虫対策:GF
オルトランが殺虫する仕組み

オルトランは「浸透移行性」という特徴を持っています。
「浸透移行性」とは薬が植物の中に入り、植物の体内を移動していく性質です。
薬剤がどこから入るのかというと
ズバリ「根」です。
その成分が植物の中を移動し、アブラムシなどが汁を吸ったときに薬の成分も一緒に取り込んで効く、という仕組みです。
しかし、薬剤が葉っぱ全体にくまなく行き渡るわけではありません。
簡単な表現で説明すると、葉っぱには二種類の配管が通っています。
水やミネラルを運ぶ「道管」
光合成で作った糖などの栄養を運ぶ「師管」
アブラムシはこの師管に流れる栄養を吸います。
オルトランの殺虫成分はこの師管に流れて行きますので、アブラムシを駆除できるわけです。
実際にはこのように単純ではないので、分かりやすく簡略化した説明とご理解ください。
オルトランがハダニに効果がない理由

オルトランの殺虫成分は上記で説明した管を通って葉っぱ全体に広がっていきます。
しかし、葉っぱ表面の細胞へは浸透しにくくなっているため、そこを中心に吸っていくハダニには効果がありません。
なぜハダニは表層の細胞を吸うの?
葉肉細胞には、糖、アミノ酸、水分、ミネラル、葉緑体など、ハダニが生きるために必要な成分が含まれています。ハダニはそれらを吸うことで、動くためのエネルギーや、脱皮・産卵に必要な材料を得ています。
アブラムシが師管という植物の栄養の通り道から吸うのに対し、ハダニは葉の表面側の細胞を点々と傷つけて、その中身を吸います。
そのため、同じ「吸う害虫」でも、アブラムシとハダニでは吸っている場所が違います。
そして繰り返しますが、表面側の細胞に殺虫成分は届きません。
裏どりとしてメーカーにハダニへの効果の有無を確認し「ハダニに対して効果はない」という回答をいただいております。
このメカニズムからオルトランに限らず、他の浸透移行性製品においても、ハダニに効果はないと言えるのではないかと思われます。
一部では「スペースの問題でハダニ効果をパッケージに書いていないだけ」との解釈もあるように見受けられますが、そのような解釈は危険です。
農薬の扱いは農薬取締法で規定
農薬は、パッケージやラベルに書かれた内容に従って使うのが基本です。
これは単なるメーカーのお願いではなく、農薬取締法第25条で、農薬使用者は国が定める使用基準に違反して農薬を使用してはならないと定められているためです。
特に食用作物では、適用作物、使用量、希釈倍数、使用時期、使用回数を守ることが法律上重要です。
また、ラベルの「適用病害虫名」は、その農薬が効果を確認され登録された対象です。たとえばハダニ類の記載がない農薬を、ハダニ対策として積極的に勧めるのは適切ではありません。
多肉植物は観賞用植物ですが、安全面・薬害・効果の面からも、農薬はラベルの適用内容を確認して使うことが大切です。
「オルトランはハダニにも効く」と聞いたことがある方へ
「オルトランはハダニにも効く」と聞いたことがある方もいるかもしれません。もしかすると、信頼している生産者さんや先輩タニラーさんからそう教わった方もいるかもしれません。
こんなブログでいきなり「効かない」と言われても💢
この記事では、その経験談を否定したいわけではありません。
ただ、農薬の登録内容と薬の効き方で整理すると、オルトランはハダニ対策として登録された薬ではなく、ハダニに安定して効く薬として人にすすめるのは難しいと考えています。
一時的にハダニが減ったように見えることはあるかもしれませんが、気温、湿度、水やり、発生初期だったこと、他の薬剤の影響など、別の要因が関係している可能性もあります。
そのため私は、ハダニが出たときは、オルトランではなくハダニに登録のある殺ダニ剤を使う、という考え方で紹介しています。
最後まで読んでいただき、ありがとうございました。

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